※本記事には広告リンクが含まれます。金額は特記のない限り説明用の計算例で、実在店舗の実績や業界平均ではありません。

間借りカフェの利益は、売上から材料費や決済手数料などの変動費と、間借り料金や保険料などの固定費を引いて求めます。ただし、その金額をそのまま「自由に使えるお金」と考えると資金不足になりやすいため、店主の労働対価、税金の支払い、借入金の元本返済も別に確認する必要があります。

先に結論

  • 月商は「1日客数×客単価×営業日数」で置く
  • 利益は「売上−変動費−固定費」で計算する
  • 定額・売上歩合・併用型では損益分岐点が変わる
  • 利益と手元資金を分け、税金・借入返済・設備購入を資金繰り表に置く
  • 営業許可や届出は物件側から当然に引き継げるとは考えず、営業者・メニュー・設備・地域を示して管轄保健所へ確認する

間借りカフェの利益を5つの数字に分ける

数字 意味 主な例
売上 お客様から受け取る金額 客数×客単価×営業日数
変動費 売上や提供数に応じて増減しやすい費用 食材、カップ、決済手数料、売上歩合の間借り料
固定費 客数が減っても毎月発生しやすい費用 定額の間借り料、保険、通信、保管料
利益 売上から事業上の費用を引いた差額 この例では店主労働、税金、借入元本を引く前後を分ける
手元資金 実際に支払いへ回せる現金 利益に設備購入、借入、元本返済、税金支払い等を反映

個人事業の所得計算では、国税庁は事業所得を総収入金額から必要経費を差し引いて計算すると案内しています。一方、借入金の元本返済は会計上の利益計算と現金の動きが一致しません。採算表と資金繰り表を分けるのが安全です。

月次モデル:客数×客単価×営業日数から計算する

以下は仕組みを理解するための仮定です。営業日18日、1日28人、客単価900円とします。

月商=28人×900円×18日=453,600円

項目 条件 月額
売上 28人×900円×18日 453,600円
材料・包材 売上の28% 127,008円
決済手数料 売上の2.8%として計算 12,701円
定額の間借り料 計算例 90,000円
水道光熱・保管 計算例 20,000円
保険・通信・ソフト 計算例 12,000円
広告・雑費 計算例 15,000円
営業利益相当 売上−変動費−固定費 176,891円

ここでは決済手数料を1円未満四捨五入しました。材料・包材と決済手数料の合計は139,709円、固定費は137,000円です。この176,891円には店主の働いた時間への対価、税金の支払い、借入元本の返済をまだ反映していません。

仮に店主の作業を月80時間、労働対価の管理用単価を1,200円と置けば96,000円です。176,891円から差し引いた残りは80,891円です。個人事業主自身への給与を必要経費として扱えるという意味ではなく、働き方として成立するかを判断するための管理上の比較です。

間借り料金は定額・歩合・併用を分ける

方式 説明用条件 月商453,600円のとき 注意点
定額 月90,000円 90,000円 低売上月も同額。曜日や時間帯、光熱費込みかを確認
売上歩合 売上の15% 68,040円 対象売上、税込・税抜、決済手数料控除前後を契約で確認
併用 月40,000円+売上の8% 76,288円 最低保証、上限、追加料金の条件を確認

15%や8%は相場ではなく計算例です。売上歩合の契約では、テイクアウトや予約販売も対象か、取消・返金をどう扱うか、POSの数字を誰が確定するかまで確認します。

損益分岐点を計算する

損益分岐点売上は、次の式で概算できます。

損益分岐点売上=固定費÷(1−変動費率)

契約例 固定費 変動費率 損益分岐点売上 900円・18日なら必要客数
定額90,000円 137,000円 30.8% 197,977円 1日約12.22人→13人
歩合15% 47,000円 45.8% 86,716円 1日約5.35人→6人
40,000円+8% 87,000円 38.8% 142,157円 1日約8.78人→9人

定額方式では、材料・包材28%と決済手数料2.8%を変動費率30.8%として計算しました。歩合方式ではさらに15%、併用方式では8%を加えています。客数は端数の人を販売できないため切り上げています。なお、この損益分岐点は店主の労働対価や税金、借入元本を含まない「営業利益相当が0円」の地点です。それらを賄う売上目標は別に上乗せします。

客数が減ったときの試算

1日客数 月商(900円×18日) 変動費30.8% 固定費 営業利益相当 労働対価96,000円控除後
28人 453,600円 139,709円 137,000円 176,891円 80,891円
22人 356,400円 109,771円 137,000円 109,629円 13,629円
18人 291,600円 89,813円 137,000円 64,787円 −31,213円

利益率だけでなく、「雨天が続く」「貸主都合で営業日が減る」「仕込み可能時間が短くなる」といった条件を客数や営業日数に置き換えて再計算します。回転数と客席数から客数を検討する方法は、カフェの回転率の計算方法で詳しく説明しています。

利益と手元資金が一致しない理由

  • 税金:売上から自動的に引かれない税金があるため、見込み額を別口で確保する
  • 借入:利息と元本では会計上の扱いが異なり、元本返済でも現金は減る
  • 設備:冷蔵庫やグラインダーの購入は支払時に現金が減る。高額資産の経費処理は税理士等へ確認する
  • 入金差:キャッシュレス売上は入金日まで現金化されない
  • 保証金・前払い:開業時に必要でも月次利益表だけでは見落としやすい

開業前の一時費用も含めて確認したい場合は、カフェ開業資金の考え方も参照してください。

営業許可と契約は物件ごとに確認する

間借り先に飲食店営業の許可があっても、別の営業者が別時間帯に営業するときに、その許可を当然に引き継げるとは限りません。厚生労働省は食品衛生申請等システムを案内し、申請内容の相談先として管轄保健所を示しています。営業者、提供メニュー、調理工程、営業日時、設備の共用方法を伝え、誰の名義でどの許可・届出が必要かを開業前に確認してください。

確認先 確認する内容
管轄保健所 営業許可・届出の要否、営業者名義、設備基準、仕込み場所、メニュー
物件所有者・貸主 転貸・間借りの承諾、用途、営業時間、看板、騒音、原状回復
間借り先店舗 厨房・食器・冷蔵庫・保管場所の範囲、清掃、廃棄物、破損、アレルゲン対応
消防・自治体等 火気・収容人員・地域ルールなど、営業内容に応じて必要な確認

契約書では、定額・歩合の計算方法、支払日、売上データの扱い、光熱費、設備故障、キャンセル、営業できなかった日の精算、顧客対応、保険を確認します。口頭の「使ってよい」を、営業許可や転貸承諾の代わりにしないことが重要です。

開業前に作る3つの表

  1. 月次損益表:客数、客単価、営業日数、変動費率、固定費を入力する
  2. 資金繰り表:現金残高、カード入金日、設備支払、税金、借入元本を月ごとに置く
  3. 契約・許認可確認表:確認先、質問、回答日、担当者、根拠資料を残す

物件の条件整理にはコーヒースタンド物件の選び方、移動販売を比較する場合はキッチンカー・移動販売の許可も役立ちます。

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よくある質問

間借りカフェは初期費用が安いから必ず黒字になりますか?

必ず黒字になるわけではありません。専用店舗より工事費等を抑えられる場合はありますが、営業日や時間の制限、保管・運搬、歩合料金などが利益を圧迫することがあります。自分の契約条件で計算してください。

利益には自分の人件費を入れますか?

法人の給与と個人事業主本人の取り分では会計・税務上の扱いが異なります。ただし事業として続けられるかを見る管理表では、働いた時間への対価を別行で置くと判断しやすくなります。

貸主に許可があれば営業できますか?

物件利用の承諾と食品営業の許可・届出は別の確認です。貸主・間借り先との契約に加え、営業内容を管轄保健所へ説明し、必要手続を確認してください。

まとめ

間借りカフェの利益は、客数×客単価×営業日数から売上を置き、変動費と固定費を分けると見通しやすくなります。定額・歩合・併用では損益分岐点が変わるため、契約条件を同じ計算表で比較してください。さらに店主の労働対価、税金、借入返済を別に置き、利益ではなく手元資金まで確認します。許認可は物件側のものを当然に使えると考えず、2026年10月10日時点の厚生労働省案内に沿って管轄保健所へ相談してください。

参考資料