コーヒーのキッチンカーを始めるときは、先に車を買うのではなく、営業する地域とメニューを決め、その地域を管轄する保健所へ車両購入・改装前に相談するのが基本です。飲食店営業の許可、食品衛生責任者、出店場所の承諾、火気を使う場合の消防手続などは別々の確認事項です。設備基準や営業可能地域は自治体と営業内容で変わるため、全国共通のシンク数・給水量・手数料として決めつけることはできません。
制度・料金の確認日:2026年10月12日。具体例は横浜市・神奈川県内の案内に基づきます。実際に営業する自治体の最新資料を優先してください。
許可取得までの順番
- 営業地域とメニューを整理する:コーヒーだけか、ミルク・氷・軽食も扱うか、車内でどこまで調理するかを決めます。
- 購入・改装前に相談する:営業予定地の保健所へ、メニュー、工程、車両図面、給排水、電源を提示します。
- 設備計画を確定する:相談結果に沿ってシンク、給排水タンク、手洗い、冷蔵設備、収納、換気等を設計します。
- 申請と車両検査を受ける:必要書類と手数料をそろえ、実際に営業できる状態の車両で検査を受けます。
- 出店準備をする:許可証だけでなく、出店先の承諾、火気・発電機の届出、保険、仕入れ・廃棄計画などを確認します。
保健所へ相談するときに準備する情報
| 準備項目 | 具体的に示す内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 営業地域 | 主な市区町村、イベント、複数地域を回る予定 | どこへ申請するか、許可が及ぶ地域 |
| メニュー | ホット/アイス、牛乳・氷の使用、軽食、トッピング | 必要な許可の種類と設備 |
| 調理工程 | 仕入れ、下処理、車内調理、提供、残品・廃棄まで | 車内で認められる工程、別の許可施設が必要か |
| 車両図面 | 設備の位置、寸法、作業動線、出入口 | シンク・手洗い・収納等の配置 |
| 給排水 | 給水・排水タンク容量、給水元、排水方法 | メニューと工程に合う容量・構造か |
| 電源・熱源 | 外部電源、発電機、ガス、各機器の消費電力 | 検査時の動作確認、消防手続の要否 |
| 温度管理 | 冷蔵庫、温度計、牛乳・食材の保管方法 | 必要な能力と記録方法 |
| 仕込み場所 | 仕込みを行う施設名、所在地、許可番号 | 車外での仕込みが必要な場合の条件 |
「許可」と周辺手続を混同しない
| 項目 | 役割 | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 食品営業の許可・届出 | メニューと営業形態に応じて食品衛生法上の営業を認めてもらう | 営業地域を所管する保健所 |
| 食品衛生責任者 | 許可施設ごとに衛生管理を担う資格者を置く | 自治体・食品衛生協会 |
| 出店場所の承諾 | 私有地・施設・イベントで販売する権限を得る | 土地所有者・施設管理者・主催者 |
| 道路使用・占用 | 道路上を使用する場合の手続 | 警察・道路管理者。通常の私有地出店とは別 |
| 消防関係 | ガス、発電機等を使う催事で必要になる届出や安全対策 | 所轄消防署 |
| 税務・事業手続 | 開業、記帳、納税等 | 税務署・自治体 |
一つの許可を取れば、すべての場所で自由に出店できるわけではありません。イベント主催者の審査や施設独自の条件が別にあります。
横浜市で自動車営業を始める具体例
横浜市の公式案内では、食品営業自動車の相談は予約制で、申請時には申請書、施設の構造・設備を示す図面、設備概要、本人確認書類、食品衛生責任者の資格証明、手数料、営業計画書などを準備します。仕込みを行う許可施設がある場合は、その営業許可証の写しも必要です。
車両検査では、給水タンクに水を入れ、営業に電気が必要なら外部電源や発電機等を用意して、設備が使える状態にします。横浜市の飲食店営業の申請手数料は、2026年10月12日確認時点で16,000円です。菓子製造業など別の許可区分では料金が異なります。
横浜市は、2021年6月1日以降に神奈川県内の自治体で取得した対象の自動車営業許可について、有効期間内は県内全域で営業できると案内しています。ただし、これは神奈川県内の制度上の扱いです。県外へまたぐ営業や、許可内容と異なるメニューを扱う場合は、それぞれの自治体へ確認してください。
コーヒーメニューでも条件が変わる
- 豆を挽いて湯で抽出するだけ:工程は比較的単純でも、手洗い・給排水・器具洗浄等の基準確認は必要です。
- 牛乳を使う:冷蔵保管、開封後管理、器具洗浄の計画が増えます。
- 氷を扱う:氷の仕入れ・保管・取り扱い方法を示します。
- サンドイッチや焼き菓子を扱う:仕込み場所と製造者、包装・表示、追加許可の要否を確認します。
「コーヒー販売だから給水タンクは何リットル」と一律には決められません。メニュー数、工程、洗浄方法によって求められる設備が変わるためです。
申請から検査までに避けたい失敗
- 車両を購入・改装してから初めて相談し、設備をやり直す
- 営業場所を決めず、別地域の基準だけで設計する
- メニューを「コーヒー等」とだけ書き、ミルク・氷・軽食の工程を示さない
- 車両検査の日に水や電源がなく、設備の動作を確認できない
- 営業許可と、イベントへの出店承諾や消防手続を同じものと考える
開業費と採算も許可とは別に確認する
許可が取れる設計でも、事業として続けられるとは限りません。車両費、改装費、エスプレッソマシン等の消費電力、燃料、出店料、食材原価、保険を整理してください。資金計画はカフェ開業の融資、持ち帰り中心の販売設計はコーヒースタンドのテイクアウトも参考になります。
公式資料
- 横浜市西区:自動車による食品営業を始める方へ(2026年10月12日確認)
- 横浜市中区:食品営業許可・届出(2026年10月12日確認)
- 横浜市消防局:露店等の開設届出の案内(PDF、2026年10月12日確認)
まとめ
最初に営業地域・メニュー・工程を決め、車両購入や改装の前に管轄保健所へ相談します。車両図面、給排水、電源、仕込み場所を具体的に示すと、必要設備を確認しやすくなります。食品営業許可、食品衛生責任者、出店承諾、道路・消防の手続は役割が異なるため、一つずつ確認してください。
