エスプレッソマシンの電気代は、消費電力量(kWh)×料金単価(円/kWh)で計算します。製品の「1300W」は瞬間的な電力の大きさであり、「1杯で1.3kWh使う」という意味ではありません。

予熱・抽出・スチーム・洗浄・待機を同じ使用時間として重ねて足すと過大計算になります。まず1回の使用サイクルを決め、定格電力から上限寄りに試算する方法と、積算電力量を測る方法を分けましょう。

基本式
  • WをkWへ直す:W÷1000
  • 消費電力量:kW×使用時間(時間)=kWh
  • 電気代:kWh×料金単価(円/kWh)
  • 定格電力×時間は、一定電力で動き続けると仮定した試算であり実測値ではない

W・kW・kWhの違い

単位 表すもの 計算での使い方
W(ワット) その時点の電力 製品の定格表示を確認する
kW(キロワット) 1000W単位の電力 1300W÷1000=1.3kW
kWh(キロワット時) 一定期間に使った電力量 1.3kW×0.1時間=0.13kWh

料金へ掛けるのはWではなくkWhです。6分は6時間ではなく、6÷60=0.1時間へ直します。

定格電力から試算する例

例として、デロンギ「デディカ アルテ EC885J-M」は公式仕様で消費電力1300Wです(デロンギ公式製品情報、2026年10月10日確認)。

この機種が6分間ずっと1300Wで動くと仮定すると、次の計算です。

  1. 1300W÷1000=1.3kW
  2. 6分÷60=0.1時間
  3. 1.3kW×0.1時間=0.13kWh
  4. 0.13kWh×31円/kWh=4.03円

ただし、ヒーターやポンプは工程中ずっと定格電力で動くとは限りません。4.03円はこの仮定に基づく試算で、EC885J-Mの実測電気代ではありません。

料金単価31円/kWhの意味

この例の31円/kWhは、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が家電の電気代表示用に定める目安単価です。同協議会は、全小売電気事業者の販売電力量・販売額などを基に算出し、2022年7月22日に31円/kWh(税込)へ改定したと説明しています(家電公取協Q&A、2026年10月10日確認)。

これは個々の契約の請求単価ではありません。基本料金、燃料費調整、再生可能エネルギー発電促進賦課金、時間帯別料金など、実際の請求構成とは一致しない場合があります。家計の試算では、契約先の請求書・料金表で「1kWh増えたときに比較へ含める単価」を決め、含めた項目と確認日を記録してください。

予熱・抽出・スチーム・洗浄を重複させない

工程別に計算する場合は、時間が重ならない区間へ分けます。たとえば「予熱3分、抽出1分、スチーム1分、すすぎ1分」で合計6分なら、工程別電力量の合計と、全体6分の試算のどちらか一方を採用します。

方法 含める範囲 注意
定格×全体時間 電源ONから使用終了まで 全時間を定格で動く仮定。工程を別に足さない
工程別試算 重ならない各工程 工程ごとの電力が分かる場合のみ。時間の重複を除く
積算電力計 コンセントを挿してから終了までの実測kWh 予熱等を含むなら同じ工程を追加計上しない

「測定器の合計0.08kWh」に、別に推定した予熱0.03kWhや抽出0.01kWhを足すのは二重計上です。何を含む測定か、開始・終了時点をメモします。

1日・1か月の計算例

1回0.13kWhという上の仮定をそのまま使う場合は、次のようになります。

頻度 電力量 31円/kWhでの試算
1日1回 0.13kWh 4.03円/日
30日 0.13×30=3.9kWh 3.9×31=120.9円/月
1日3回を30日 0.13×90=11.7kWh 11.7×31=362.7円/月

まとめて2杯抽出すると、予熱を2回繰り返さずに済む場合がありますが、必要なスチーム時間や洗浄は変わります。「1杯分の電気代」を出すときは、1サイクルの電気代を実際に作った杯数で割ってください。

積算電力計で測るときの条件

測定器は、マシンの電圧・電流・最大消費電力に適合する必要があります。サンワサプライのTAP-TST8は公式仕様で定格15A・100V・1500Wまで、積算電力量kWhを測定できます(サンワサプライ公式仕様、2026年10月10日確認)。1300Wの上記例は表示上1500W以内ですが、他のマシンも使えるとは限りません。プラグ形状、アース、説明書、測定器の禁止事項まで確認してください。

  1. 測定器とマシン双方の定格・接続条件を確認する
  2. 積算値をリセットし、冷えた状態など開始条件をそろえる
  3. 予熱、抽出、スチーム、すすぎを普段どおり行う
  4. 終了条件を決めてkWhを記録する
  5. 数回測り、作った杯数と工程を併記する

広告

電力計は「コンセント式なら何でも使える」わけではありません。マシンの定格が測定器の許容範囲内か、必ず公式仕様と説明書を照合してください。

Amazonで電力計を探す

楽天市場で電力計を探す

節電の前に機種の説明書を確認する

  • オートオフや省エネモードがあるなら、メーカー指定の設定を使う
  • 必要以上の予熱・待機を減らすが、自己判断で短時間に電源を反復しない
  • 連続して複数杯を作る場合は、1回のサイクルに含めて測る
  • 洗浄や除石灰を省いて節電しない。機種指定の手入れを優先する

清掃方法はエスプレッソマシンの掃除、マシン購入を含む費用比較はカフェラテの節約計算で整理しています。

よくある質問

消費電力が高い機種ほど、1杯の電気代も必ず高いですか?

必ずではありません。定格電力が高くても、加熱時間や制御、待機時間、作る杯数でkWhは変わります。同じ使用サイクルの積算電力量で比べます。

予熱と抽出を別々に足してよいですか?

重ならない時間として別々に試算するなら可能です。ただし、全サイクルを電力計で測った値や「定格×全体時間」と併用して重ねて足しません。

31円/kWhは自宅の請求単価ですか?

いいえ。家電表示用の目安単価です。実際の家計計算では契約先の料金表・請求明細を確認し、何を含む単価か記録してください。

まとめ

エスプレッソマシンの電気代は、WをkWへ直し、使用時間を掛けてkWhを求め、料金単価を掛けます。定格電力による値は試算、積算電力計の値は設定した使用サイクルの実測です。予熱・抽出・スチーム・洗浄・待機を二重計上せず、単価の出典・確認日・含む項目を残しましょう。