ランニング前にコーヒーを飲むと、「集中しやすくなる」「いつもより楽に走れる」と聞いたことがある人もいるでしょう。カフェインは、持久系運動のパフォーマンスを助ける可能性がある成分として研究されています。
一方で、コーヒーを飲んだからといって、すべての人が速く走れるわけではありません。飲む量やタイミングを間違えると、動悸、胃の不快感、便意などが起こり、かえって走りにくくなることもあります。
特に大会当日に、普段と違う量や飲み方を試すのは避けたいところです。この記事では、ランニング前にコーヒーを飲むメリット、研究結果、適したタイミングと量、安全な試し方を解説します。
飲む時刻を決めるときは、カフェインが効き始める時間と持続時間も参考にしてください。
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ランニング前にコーヒーを飲んでもよい?
健康な成人で、コーヒーを飲んでも体調に問題がない人なら、ランニング前に適量を飲むことは可能です。ただし、カフェインが体質に合わない人は無理に取り入れる必要はありません。
健康な成人なら適量を飲める
普段からコーヒーを飲んでいる健康な成人であれば、ランニング前に小さめの1杯を飲む方法があります。カフェインには覚醒作用があり、集中力や運動中の努力感に影響する可能性があります。
普段飲まない人は少量から試す
カフェインに慣れていない場合、少量でも心拍数の増加、手の震え、不安感、胃の不快感などが出る可能性があります。最初は短く軽いジョギングの日に少量を試しましょう。
レース当日に初めて試さない
コーヒーを飲んでから便意が強くなったり、胃が痛くなったりする人もいます。大会で取り入れたい場合は、普段の練習で同じ商品、量、タイミングを試してください。
水分補給や食事の代わりにはならない
コーヒーには水分が含まれますが、ランニング前の水分補給や食事をすべてコーヒーで済ませるのは適切ではありません。距離や運動強度に応じて、水分、食事、補食を準備しましょう。

ランニング前のコーヒーに期待される効果
カフェインはスポーツ分野で広く研究されています。ただし、効果の現れ方は、走る距離、運動強度、摂取量、普段の摂取習慣などによって変わります。
覚醒度や集中力を高める可能性がある
カフェインには中枢神経を刺激する作用があり、眠気を抑えたり、集中しやすくしたりする可能性があります。ただし、眠気が和らいでも睡眠不足や身体の疲労が解消されたわけではありません。
運動中のきつさを感じにくくする可能性がある
カフェインを摂取すると、同じ運動強度でも普段よりきつさを感じにくくなる場合があります。予定以上にペースを上げないよう、設定ペースや体調を確認しましょう。
持久系運動のパフォーマンスを助ける場合がある
カフェインは持久系運動のパフォーマンスを助ける可能性があります。ただし、コーヒーのカフェイン量は豆や抽出方法で変わり、飲めば必ず記録が向上するわけではありません。
短距離走への効果は一定していない
カフェイン入りコーヒーを飲んだ後の1マイル走で記録が向上した研究がある一方、800m走ではデカフェとの間に差が出なかった研究もあります。
参考:Coffee Ingestion Enhances 1-Mile Running Race Performance
参考:Acute Caffeinated Coffee Consumption Does not Improve Time Trial Performance in an 800-m Run
脂肪燃焼だけを目的に飲みすぎない
カフェインは運動中のエネルギー利用に影響する可能性がありますが、コーヒーを飲んで走るだけで体脂肪が大幅に減るわけではありません。減量には食事や運動を含む生活習慣が関係します。

コーヒーとランニングの研究結果
ランニング前のコーヒーについて調べた研究はありますが、参加者が少ない試験も多く、結果にはばらつきがあります。研究条件を確認して読むことが大切です。
1マイル走で記録が向上した研究がある
トレーニング経験のある男性ランナー13人を対象にした試験では、走る60分前にカフェイン入りコーヒーを飲んだ条件で、デカフェやプラセボより完走時間が短くなりました。
800m走で差が出なかった研究もある
アマチュアの持久系男性ランナー12人を対象にした試験では、カフェイン入りコーヒーとデカフェの間で、800mの完走時間や運動のきつさに差が確認されませんでした。
研究結果をすべてのランナーへ当てはめられない
試験では年齢、性別、走力、普段のカフェイン摂取量などが限定されています。気温、コース、食事、睡眠状態が変われば走りやすさも変わるため、結果は参考として扱いましょう。
コーヒーとカフェインサプリは同じではない
サプリメントは1回分の量を確認しやすい反面、一度に多量を摂取する危険があります。コーヒーは豆や抽出方法でカフェイン量が変わります。研究と同じ量へ近づけるために何杯も飲むのは避けてください。
カフェインへの反応には個人差がある
カフェインへの反応には、普段の摂取習慣、体格、体質、睡眠状態などが関係します。Australian Institute of Sportも、パフォーマンスの変化や副作用には個人差があると説明しています。
参考:Australian Institute of Sport「Caffeine」

コーヒーはランニングの何分前に飲む?
研究では、走る60分前にコーヒーやカフェインを摂取する方法が多く用いられています。ただし、消化の速さや胃腸の反応は人によって違います。
30~60分前が試されることが多い
ランニング前のコーヒーは、スタートの30~60分前を目安に試す方法があります。最初からレースで試さず、短いジョギングや普段の練習で時間を調整してください。
コーヒーは飲んですぐ効くとは限らない
飲んだ直後に走り始めても、カフェインの作用を十分に感じられないことがあります。飲んだ時刻、量、走った距離、体調を記録すると、自分に合う方法を見つけやすくなります。
朝のランニングでは起床時間も考える
コーヒーを飲むために早起きして睡眠不足になるなら、利点が小さくなる可能性があります。短いジョギングなら、無理に飲まず水分を補給して走る方法もあります。
胃腸が弱い人は時間に余裕を持つ
コーヒーで胃痛や便意が起きる人は、スタート直前の摂取を避けましょう。飲んでからトイレを済ませられるよう時間を取り、それでも不調が出るなら飲まないでください。
スタート直前の一気飲みを避ける
走る直前に大量のコーヒーを飲むと、胃が揺れて気持ち悪くなったり、走行中にトイレへ行きたくなったりすることがあります。余裕を持って少量ずつ飲みましょう。

ランニング前に飲むコーヒーの量
ランニング前だからといって、普段より濃いコーヒーや大きなカップを選ぶ必要はありません。効果を期待して量を増やすと、副作用が出やすくなります。
最初は小さめの1杯から試す
初めて試す場合は、小さめの1杯から始めましょう。最初に確認したいのは速く走れるかではなく、胃痛、便意、動悸、手の震えなどが出ないかです。
カフェイン量は抽出方法や商品で異なる
カフェイン量は、使用する豆、豆の量、抽出方法、出来上がり量によって変わります。缶やペットボトル飲料は、商品表示や公式情報を確認しましょう。
体重だけで摂取量を決めない
スポーツ分野では体重1kg当たりの量で示されますが、一般のランナーが体重だけを基準に多量摂取するのは避けましょう。AISは少量から検討する考え方を示していますが、全員への推奨量ではありません。
1日全体のカフェイン量を確認する
ランニング前のコーヒーだけでなく、その日に飲んだお茶、コーラ、エナジードリンクなども合計します。厚生労働省は海外機関の情報として、健康な成人で1日400mgまでという目安を紹介していますが、少量で不調が出る人もいます。
カップ数で管理したい方は、コーヒーを1日何杯まで飲めるか判断する目安も確認しておきましょう。
参考:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
エナジードリンクやサプリとの重複に注意する
コーヒーとエナジードリンク、プレワークアウトサプリメントを組み合わせると、短時間にカフェインを取りすぎる可能性があります。すべての商品の含有量を確認してください。

ランニング前に向いているコーヒーの選び方
特別な商品を選ぶ必要はありません。カフェイン量だけでなく、胃腸への負担、糖分、温度、飲み慣れているかを確認します。
シンプルなブラックコーヒー
ブラックコーヒーは、砂糖やクリームを加えないため、摂取エネルギーを抑えやすい選択肢です。ただし、空腹時に胃が痛くなる人が無理に選ぶ必要はありません。
牛乳入りコーヒーは胃腸との相性を確認する
牛乳を加えると飲みやすくなる一方、走る前に飲むとお腹が張る、腹痛や便意が起きる人もいます。長距離を走る前は練習で相性を確かめましょう。
甘いコーヒーは糖分と量を確認する
砂糖入りコーヒーは糖質を補える場合もありますが、量が多いと胃が重くなることがあります。長距離に必要な糖質をコーヒーだけで補わず、食事や補給食も組み合わせましょう。
アイスとホットは飲みやすさで選ぶ
どちらかが必ず優れているわけではありません。暑い日はアイス、冷たい飲み物でお腹が痛くなる人はホットというように、季節と体調に合わせて選びます。
夜のランニングにはデカフェを検討する
夕方以降にカフェイン入りコーヒーを飲むと、就寝時に眠れなくなる可能性があります。夜に走る場合は、デカフェやカフェインレスコーヒーへの切り替えを検討しましょう。
夜用の商品を選ぶ場合は、デカフェを夜に飲むときの選び方と注意点も役立ちます。

距離や目的に合わせたコーヒーの飲み方
軽い運動と長距離レースでは必要な準備が異なります。走る距離、運動強度、目的に合わせて判断しましょう。
軽いジョギングでは無理に飲まなくてよい
健康維持や気分転換を目的とした短いジョギングなら、パフォーマンス向上を期待して飲む必要はありません。水分補給と準備運動を優先してください。
5kmや10kmでは練習中に相性を確かめる
記録を狙う場合は、大会前の練習で商品、量、時間、朝食、トイレへ行く時間まで確認します。複数回試して体調と走りやすさを判断しましょう。
ハーフ・フルマラソンでは補給計画へ組み込む
長距離では、走行中の水分、糖質、電解質を含めた補給計画が重要です。カフェイン入りジェルを使う場合は、スタート前のコーヒーとの合計量に注意します。
ランニング前後の飲み物・補給食を探す
カフェイン入りジェルを使う場合は、スタート前のコーヒーを含めた総カフェイン量を確認してください。大会前に初めて使わず、練習で相性を確かめましょう。
インターバル走では心拍や体調に注意する
インターバル走では運動によって心拍数が大きく上がります。動悸を感じやすい人は摂取を避け、飲んだ日はウォーミングアップ中の体調を確認してください。
大会当日は普段と同じ方法を守る
大会当日は、練習で問題がなかった商品、量、時間を守ります。記録を狙って濃くしたり、サプリメントを追加したりしないでください。

ランニング前の食事・水分とコーヒーの組み合わせ
コーヒーを飲む場合でも、ランニングに必要な水分とエネルギーは別に補います。特に長時間走る日は、コーヒーだけでスタートしないようにしましょう。
先に必要な水分を補給する
朝に走る場合は、コーヒーの前後に水分を補給します。直前の一気飲みを避け、気温、湿度、運動時間、発汗量に合わせて少しずつ飲みましょう。
空腹で気分が悪くなる人は軽食を取る
空腹でコーヒーを飲むと胃痛や吐き気を感じる人がいます。食事から走り始めるまでの時間が短い場合は、量を控え、消化しやすい食品を選びます。
バナナやパンなど消化しやすい食品と合わせる
バナナ、パン、おにぎりなど、普段から食べ慣れている物を選びましょう。食品の消化しやすさには個人差があるため、大会前に初めての商品を試さないでください。
長距離では糖質補給をコーヒーだけで済ませない
砂糖入りコーヒーでも、長距離に必要なエネルギーを十分に補えるとは限りません。スタート前の食事と、必要に応じた走行中の補給を計画します。
暑い日は水分と電解質を優先する
暑い日や湿度が高い日は、熱中症を防ぐ準備が重要です。頭痛、めまい、吐き気、意識がぼんやりするといった症状があれば走るのを中止し、涼しい場所へ移動してください。

ランニング前にコーヒーを飲むデメリット
ランニング前のコーヒーが体に合わないと、走行中の不調につながります。以前は問題なくても、体調や睡眠状態によって反応が変わることがあります。
動悸や心拍数の増加を感じることがある
カフェインで動悸を感じる人がいます。胸の痛み、強い息苦しさ、めまい、失神しそうな感覚などがある場合は運動を中止し、必要に応じて医療機関を受診してください。
胃痛や胸やけが起こることがある
空腹時や濃いコーヒーを飲んだときに、胃痛や胸やけが起こる人もいます。量や時間を変えても不調が続く場合は、ランニング前の摂取をやめましょう。
便意やトイレの回数が増える場合がある
コーヒーを飲むと便意や尿意を感じやすくなる人がいます。コース上のトイレを確認し、スタートまでに余裕を持ちましょう。
手の震えや不安感が出ることがある
カフェインを多く取ると、落ち着かなさ、手の震え、不安感が出ることがあります。大会前は緊張も加わるため、普段より刺激を強く感じる場合があります。
夕方以降は睡眠に影響する可能性がある
夜のランニング前に飲むと、就寝時に眠れない可能性があります。厚生労働省の睡眠ガイドでも、夕方以降のカフェインは夜間の睡眠へ影響しやすいとされています。
体内に残る時間については、カフェインの半減期と個人差でも詳しく解説しています。
飲みすぎるとかえって走りにくくなる
摂取量を増やしても、パフォーマンスが比例して向上するわけではありません。動悸、吐き気、胃痛、手の震えなどが出れば走ることへ集中できなくなります。

ランニング前のコーヒーを控えたほうがよい人
体調を崩しやすい人や、医師からカフェインを控えるよう指示されている人は、ランニング前の摂取を避けましょう。
カフェインに敏感な人
少量でも眠れない、落ち着かない、手が震える人は飲まないほうが安全です。デカフェにも少量残る場合があるため、表示を確認してください。
運動中に動悸が出やすい人
運動中に動悸や脈の乱れを感じる人は、自己判断で試さないようにします。コーヒーなしでも症状が出る場合は、運動を続ける前に医療機関へ相談してください。
胃腸の不調を起こしやすい人
コーヒーで胃痛、胸やけ、下痢、強い便意が起こる人は摂取を避けましょう。症状が繰り返す場合は医療機関へ相談してください。
妊娠中や授乳中の人
コーヒー以外から取るカフェインも合計して考える必要があります。パフォーマンス目的で量を増やさず、運動や摂取量に不安があれば医師や助産師へ相談しましょう。
子どもや未成年者
成人と同じ量では影響が強く出る可能性があります。走力向上を目的としてコーヒーやエナジードリンクを積極的に取る必要はありません。
服薬中や持病がある人
薬やサプリメントにカフェインが含まれる場合があります。心臓、血圧、胃腸などの持病がある人や服薬中の人は、医師や薬剤師へ確認してください。

ランニング前のコーヒーに関するよくある質問
コーヒーを飲むと脱水になりますか?
適量を飲んだだけで直ちに脱水になるとは限りませんが、水分補給をコーヒーだけで済ませるのは避けましょう。暑い日や長距離では、水分と電解質を計画的に補給してください。
ブラックコーヒーは脂肪燃焼に効果がありますか?
カフェインは運動中のエネルギー利用に影響する可能性がありますが、飲んで走るだけで体脂肪が大幅に減るわけではありません。
空腹でコーヒーを飲んで走ってもよいですか?
問題なく走れる人もいますが、胃痛、吐き気、力が出ないといった不調が起こる人もいます。長距離や高強度では必要に応じて軽食を取りましょう。
コーヒーとバナナを一緒に取ってもよいですか?
一緒に取れます。バナナは糖質を補えるため軽食として使いやすい食品ですが、食べてすぐ走ると胃が重くなる人もいるため、量と時間を調整してください。
コンビニコーヒーでも効果は同じですか?
カフェインは含まれますが、量は商品サイズや抽出条件で異なります。研究と同じ効果が出るとは限らないため、いつもの商品を練習で試しましょう。
缶コーヒーでもよいですか?
選択肢になりますが、容量、カフェイン量、糖質量を確認してください。乳成分や糖分が多いと胃が重くなる場合があります。
コーヒーを飲むとトイレが近くなりますか?
尿意や便意を感じやすくなる人がいます。大会前はトイレへ行く時間を確保し、練習で問題が続くなら飲まない方法を選んでください。
マラソン大会前にも飲んでよいですか?
練習で同じ商品、量、時間を試して問題がなければ取り入れられます。レース中にカフェイン入りジェルを使う場合は合計量に注意してください。
コーヒーを飲まないと記録が落ちますか?
飲まなければ速く走れないわけではありません。記録にはトレーニング、睡眠、食事、気象条件、ペース配分など多くの要素が関係します。
ランニング後にもコーヒーを飲んでよいですか?
健康な成人で体調に問題がなければ飲めます。ただし、走り終えた直後は水分、食事、休養を優先し、夕方以降は睡眠への影響にも注意しましょう。
運動後の回復との関係は、筋トレ後にコーヒーを飲むタイミングと注意点でも解説しています。

まとめ|ランニング前のコーヒーは練習で相性を確かめよう
ランニング前のコーヒーは、覚醒度を高めたり、運動中のきつさを感じにくくしたりする可能性があります。ただし、効果には個人差があり、記録が必ず向上するわけではありません。
初めて試す場合は、小さめの1杯をスタートの30~60分前に飲み、短い練習で体調を確認しましょう。動悸、胃痛、便意、不安感などが出る場合は、量を減らすか飲むのを控えてください。
コーヒーは水分補給や食事の代わりにはなりません。大会では練習で問題がなかった商品、量、タイミングを守り、自分が安全に気持ちよく走れる方法を選びましょう。

